ナーランダ遺跡の本当の価値
セイロン島のほぼ中心にあたる場所にあるナーランダ遺跡ですが、ここをはじめて見たとき、これはヒンドゥー寺院ではないと思いました。なぜかと言いますと、ヒンドゥー的要素がまったくないからです。ただ堂の中に風化の進んだ像があり、もしかしたらガネーシャかなというものが1つだけありましたが、他の仏像はシンハラのものでした。
では何かと言いますと、大乗寺院でしょう。理由は建立時期です。寺院前の説明には建てられたのは8~10世紀だと書かれていますが、これはアヌラダプラの時代、スリランカの仏教は部派仏教といって今に伝わる大寺派以外にも多くの分派仏教がありました。その中の複数は上座部と大乗の融合、ヒンドゥーとの融合が見られるものもありました。これはその中のひとつと考えられます。その後ほとんどは12世紀以降パラクラマバーフ1世によって上座部が1つに統一されてから異端的と捉えられなくなっていくのです。
で、実際調べてみるとこの寺院はヒンドゥー寺院として建てられたようだが、大乗寺として使用されたとあります。ですので、この寺はスリランカでは珍しい大乗仏教の寺と言えそういった意味で非常に貴重な遺跡なのです。